2020年8月25日
本日は大田区蒲田にあるシトラスベル税理士事務所より相続税の基本的な知識の解説をさせていただきます。
相続税を理解するには民法における相続の知識が不可欠です。なぜなら、民法に定める相続人(法定相続人)が民法に定める相続分(法定相続分)に従って財産を取得したものと仮定することから始まるからです。
相続とは、亡くなった人(被相続人という。)が所有していた財産を相続人が引き継ぐことです。
相続財産には、被相続人が所有していた金融資産、不動産、動産等のプラスの財産、借金等のマイナスの財産や被相続人が債務保証を行っていた場合の法律上の地位などが含まれます。
ところで、被相続人が契約者(保険料負担者)・被保険者となって加入していた生命保険契約により相続人等が受け取った保険金は、直接死亡保険金受取人に支払われるため被相続人の民法上の相続財産とはなりません。
しかし死亡保険金は被相続人が保険料を負担した結果もらえるものであり、実態としては相続財産と考えるべきであることから相続税上はみなし相続財産として相続税の対象となるのです。
民法上の相続財産と、民法上の相続財産ではありませんが相続税法上みなし相続財産とされるものには次のようなものがあります。
被相続人の財産を相続できるのは民法で定められた相続人です。被相続人が遺言書で指定している場合等を除き相続人以外の人が相続財産を取得することはできないこととなっています。
相続人には血族相続人とものと配偶者相続人とよばれるものがいます。
血族相続人には相続できる順位があります。
配偶者は常に相続人になります。
ただし、法律上の婚姻関係がある者に限られ内縁関係(愛人など)は含まれません。
相続時に配偶者がいない場合には.相続人は血族相続人のみとなります。
法定相続分とは、民法で定められている相続財産の分け方の一応の基準となる相続割合をいいます。この割合は、血族相続人(第1順位、第2順位、第3順位)と配偶者相続人の組み合わせにより異なります。法定相続分は遺産分割の際の目安となりますが.相続人全員の同意があれば、異なる割合により遺産を分割することができます。
基本的には、民法で定められている相続人が相続税法上の相続人となりますが、相続税の計算上、遺産に係る基礎控除額、相続税の総額、死亡保険金、死亡退職金の非課税限度額の計算で法定相続人の人数に含めることができる養子の数は次のとおり制限されています。
一般的に.養子は実親と養親の両者の相続財産を相続する権利があります。しかし特別養子は実親の相続財産を相続する権利を持たず、養親の相続財産に対してだけ相続権を有します。そのため、特別養子は実子として取り扱われています。
特別養子とは、原則として6歳未満の者の福祉のために特に必要があるときに、その者と実父母との法律上の親族関係を消滅させ実親子関係に準ずる安定した養親子関係を成立させる縁組制度により養子となった者をいいます。また配偶者の実子(連れ子)で被相続人の養子となった者も相続権を有します。
父(被相続人)の相続が発生したときに子が父より先に亡くなっていた場合等には、その子の子(被相続人である父にとっては孫)が亡くなった子の相続権を引き継ぎます。これを代襲相続といい、相続権を引き継いだ孫を代襲相続人といいます。
代襲相続人は亡くなった子の法定相続分を引き継ぎますが、代襲相続人が複数人いる場合には、引き継いだ法定相続分を代襲相続人の人数で均等按分します。なお、代襲相続人である孫や曾孫を被相続人の養子としている場合は、その養子は、相続税計算上、実子として取り扱われます。
第3順位である兄弟姉妹が相続人となる場合に 被相続人の相続が発生したときに兄弟である Aがすでに亡くなっていたときには、 Aの子が代襲相続人となります。
ただし この場合における代襲相続は一代しか認められていないため、 A の子 B がすでに亡くなっていたとしてものC孫は代襲相続人にはなれません。
兄弟姉妹のなかには 父母両方が同じ兄弟姉妹 (全血兄弟姉妹)だけでなく、 いずれか一方だけが同じの半血兄弟姉妹がいます。
第3順位の兄弟姉妹が相続人となる場合には、 全血兄弟姉妹も半血兄弟姉妹も相続人になりますが、 法定相続分については半血兄弟姉妹については全血兄弟姉妹の半分になります。
民法では 遺産が相続人に公平に分割されるように被相続人が相続時に所有していた財産を法定相続分に従って分割するという原則に修正を加えるように配慮されています。それが 特別受益と寄与分です。
例えば、被相続人が生前に相続人のうち1人にだけ多額の贈与をしていた場合、被相続人が遣した財産を相続人が法定相続分どおり取得したとしても生前に多額の贈与を受けた相続人と何も贈与を受けていないその他の相続人とでは被相続人から取得した財産額に大きな違いがでてきます。
そこで被相続人から生前に受けた一定の贈与 を相続分の前渡しと考えて、相続財産の分割の際はこの特別受益も含めて各相続人の相続分を考えるというのがこの特別受益の趣旨です。特別受益の額は原則として、相続開始時点の価値を基準に評価します。
寄与分の制度は、相続人のうち被相続人の財産の維持または増加に特別に寄与した者がいる場合その分だけ寄与者の相続分を増加させるというものです。なお、この寄与分は相続人にしか認められていませんので例えば、長男の妻や内縁の妻等は寄与分を主張することはできません。
ただし令和元年7月1日以後に発生した相続においては相続人以外の親族が、被相続人に対して無償で療養看護等を行い、被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をした場合には、当該親族は相続人に対し特別寄与料の支払いを請求することができます。
相続人は民法で定められています。しかし被相続人の遺した財産がマイナスとなるケースつまり、借金等の債務が財産額を上回り、 相続人が引き継ぎたくない場合もあります。このような場合には相続人は 相続放棄または 限定承認することを選択することができます。
ただし相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、相続放棄. 限定承認の手続き(どちらも家庭裁判所に申述する。)を行わない場合には、 原則として単純承認したとみなされます。
単純承認とは、 無制限 ・ 無条件に被相続人の権利 ・ 義務を相続人が相続する ことです。 したがって 単純承認をした場合には どんなにマイナスの財産の方が大きくても、 無条件にこれを引き継がなくてはなりません。
相続放棄とは 相続財産についてはプラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がないとする意思表示で 相続放棄をした場合には 当初から相続人ではなかったものとみなされます。相続人各人が単独で選択することができます。
相続税法では相続放棄があった場合でもその放棄がなかったものとしたときの相続人および法定相続分に従って計算を行うル一ルになっています。
限定承認とは、 被相続人から相続する相続財産の限度で相続債務を支払い、残った財産があれば相続するという意思表示です。この限定承認は、財産はある程度あるものの債務がどれくらいあるかわからないというような場合に利用されます。
なお、この限定承認は相続人単独で行うことはできず、 相続人全員が合意した場合に限り選択することができます。
大田区の蒲田にあるシトラスベル税理士事務所では相続税申告の無料診断をおこなっておりますのでお気軽にお問い合わせください。