遺産分割や遺言ってなんだろう?

2020年8月27日

相続の基礎(2)

今回は大田区蒲田にあるシトラスベル税理士事務所より相続税の基本的な知識の続きの解説をさせていただきます。

相続人の除外

民法では相続人のうち相続させるのが不適当であったり、被相続人の意思に反したりという場合を考えています。具体的には相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたり、非行をしていたりといった場合があてはまります。民法では相続欠格、廃除という2つの制度を設けて被相続人の意志を反映しています。ただしこの申立は被相続人が生前か遺言によってしかすることができないので注意が必要です。

相続欠格

相続人に一定の非行があった場合に、手続き不要で相続権を失わせ相続人から除外することをいいます。たとえばつぎのような場合となります。

  • 故意に被相続人または相続について先順位または同順位にある者を死亡させ、または死亡させようとしたために刑に処せられた者
  • 被相続人の遺言の偽造などの妨害行為をした者

廃除

廃除とは、被相続人が特定の相続人について相続させたくない場合に、家庭裁判所に請求してその相続人の相続権を失わせる制度です。

これは遺言によって行うこともできます。たとえば被相続人に対する虐待・侮辱があったり、相続人の著しい非行があったりした場合におこなわれます。なお、相続欠格または廃除された相続人がいる場合、その相続欠格または廃除された者の子が代襲相続人となります。

遺産分割

遺産分割のやり方として、指定分割、協議分割、審判分割の3種類があります。

指定分割

指定分割とは、被相続人が遺言でその分割内容等を指定しその指定に従って遺産を分割することをいいます。

協議分割

協議分割とは、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続人全員の合意により遺産分割することです。この場合相続人のうち1人でも遺産分割協議に参加しない者がいるときは遺産分割協議については成立しません。

また、相続人全員が合意すれば法定相続分にとらわれず自由に遺産分割することができます。この場合財産をまったく取得しない相続人がいても問題ありません。ただし財産を相続しない相続人(相続放棄をしている場合を除く。)も、遺産分割協議書に署名押印する必要があります。

相続人の中に未成年者がいる場合には、親権者等の法定代理人が未成年者に代わって遺産分割協議に参加します。しかし、未成年者とその法定代理人がともに相続人である場合(被相続人の妻と未成年者の子が相続人である場合など)には、その法定代理人は未成年者の代理をすることができないため、遺産分割協議のためだけの特別代理人を家庭裁判所に選任してもらわなければなりません。こちらは親子で利害関係がでてしまうことからこのような制度となっております。

審判分割

遺産分割協議が整わないときや協議することができないときに家庭裁判所の審判により分割をします。一般的には審判の前に調停がおこなわれ家庭裁判所にて話し合いをします。その調停をもってしてもまとまらない場合は審判によって分割がなされます。

遺産分割の方法

現物分割

現物分割とは、遺産そのものを分割する方法です。自宅は妻、現金は長男、株式は長女といった分割方法です。

代償分割

代償分割とは、特定の相続人が現物の相続財産を取得しその代わりに他の相続人に対して自分の財産を渡す(現金などで)方法です。この場合、遺産分割協議書に子Aが相続財産である自宅を取得する代わりに子Aから子Bに現金等(代償交付金という。)を渡す旨を記載すれば、子Aから子Bに渡す代償交付金は遺産分割の一部であるとみなされ贈与税の対象にはなりません。

換価分割

遺産を処分したうえで各相続人がその代金を分ける方法です。一番わかりやすい分割ですね。

遺言でできること

遺言は、15歳以上でかつ判断能力があれば、誰でも作成できます。遺言書は、一定の方式を守っていれば内容についてはどのようなことを書いてもかまいせん。しかし法的に意味を持つのは、民法で限定されています。

代表的なものとして相続人の廃除、相続分の指定、遺産分割方法の指定、遺言執行者の指定、遺留分減殺方法の指定、遺贈や寄付行為などです。

遺言書の種類とそれぞれの特徴

民法では遺言の作成については極めて厳格なルールを定めており、その方式に従わない遺言には、効力を認めません。民法で定める遺言の方式には次の3種類があります。

  1. (1)公正証書遺言
  2. (2)自筆証書遺言
  3. (3)秘密証書遺言

公正証書遺言

遺言者が公証人と2人以上の証人の立ち合いのもとで、遺言内容を公証人に話します。それを公証人が書き留めて、公正証書として作成するものです。

公証人が公正証書を作成した後、公証人が遺言者と証人にその内容を確認します。そして、内容に間違いがなければ署名捺印し、原本が公証役場で保管されます。

証人の立ち合いが必要なので、内容を他人に知られてしまいますが、公証人が作成するので形式不備で無効となるリスクがなく、もっとも安全で確実な遺言書ということができます。税理士も証人になることができます。

自筆証書遺言

遺言者によって遺言書の本文・氏名・日付のすべてを自筆して作成する遺言書をいいます。改正によって財産目録についてはパソコンの作成も可能となり、さらに自筆証書遺言の保管制度がはじまり、作成した自筆証書遺言は法務局で保管してもらえることになりました。

秘密証書遺言

遺言者が自分で書いた後に、秘密に保管しておく遺言です。封印して公証人と証人2人以上に存在を確認してもらう手続きが必要です。公正証書遺言と違って遺言者が自分で書くので証人などに内容が知られるリスクはありません。ただし、形式に不備があると無効となり手続きが煩雑であるという難しい手続きということもありほとんど利用されていません。

遺言者はいつでも作成した遺言書の全部または一部を取り消すことができます。前の遺言を撤回する遺言をした場合には前の遺言の効力がなくなり後の遺言が効力を有することになります。遺言者が自ら遺言書を破棄した場合には、その遺言を撤回したものとみなされます。

遺言による贈与と種類

遺言によって財産を贈与することを遺贈といいます。遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。

包括遺贈

相続財産の半分をAさんに遺贈する。といった感じで相続財産の全部又は、一定の割合で指定して行う遺贈のことをいいます。相続人とおなじ権利と義務を負うことになり、もし遺贈者に借金などのマイナス財産があれば、遺贈された割合に従ったマイナスの財産も引き受けなければなりません。

特定遺贈

特定遺贈とは土地をAに遺贈する。というように遺贈する財産を指定して行う遺贈のことをいいます。特定遺贈は遺言で指定をされていなければ遺贈者の借金などのマイナス財産を引き継ぐことはありません。

遺言書以外の方法

相続人以外の人に財産を渡す方法として、遺言書を作成する他に死因贈与契約を結ぶ方法があります。この死因贈与契約とは、私が死んだらA財産をBに贈与するというように死亡によって効力が発生する贈与契約をいいます。これはあくまで契約ですから遺言書のように遺言者が一方的に作成するものではなく、あげる人と受け取る人の合意により契約を締結します。

遺贈、死因贈与、どちらの場合も、相続税法においては贈与税の対象とはならず相続税の対象となります。

遺留分

遺言者は遺言書に特定の人に財産を渡したい旨を自由に記載することができます。そうなると遺言書に「第三者にすべての財産を渡す」と記載されていた場合には相続人は相続財産を一切取得できなくなってしまいます。そこで、一定の相続人については、手続きをすれば必ず相続財産を取得できる財産の範囲が認められており、これを遺留分といいます。

遺留分は、遺留分を侵害するような生前贈与や遺贈が行われた場合相続人それぞれが、相続開始後に、自らの遺留分を確保するための権利を主張することによって認められるものです。この手続きを遺留分減殺請求といいます。

遺留分権利者

遺留分は被相続人が作成した遺言に従わない非常に強い権利です。したがって、相続人のうち子やその代襲相続人、直系尊属配偶者には遺留分が認められていますが、兄弟姉妹、その代襲相続人には遺留分は認められていません。

遺留分の割合

遺留分の割合は原則としてその相続における各相続人の法定相続分の2分の1です。ただし直系尊属だけが相続人の場合は法定相続分の3分の1になるなどの例外もあります。

遺留分の対象となる財産

遺留分を計算する際の基礎となる財産は被相続人が相続開始時に有していた財産だけではありません。相続開始前の生前贈与や相続人以外への相続開始前1年以内の贈与等一定の金額が加わります。

遺留分の権利を主張する場合

遺留分を侵害された場合に遺留分を主張するかどうかは相続人の個人個人の判断によります。遺留分の権利を主張する場合には遺留分減殺請求という手続きを行います。請求すればもらえるとしても家族関係等を考えて請求しなくとも問題はありません。この請求は遺贈を受けた人や生前贈与を受けた人に対して遺留分減殺請求をする旨の意思表示をするだけです。ただし遺留分減殺請求は1年以内にしなければなりませんので、通常は1年以内に遺留分減殺請求をしたことを証明するために内容証明郵便を用います。

遺留分減殺請求権は、遺留分を侵害された者が相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年以内に行使しなければ消滅します。また、相続の開始を知らなかった場合等であっても、相続開始のときから10年経過するまでに行使しなければ消滅します。


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