2020年8月30日
大田区の蒲田駅にあるシトラスベル税理士事務所から相続税の大まかな計算シリーズの第2-3段階目の解説となります。
相続税の計算は、まず、相続財産全体にかかる相続税の合計額を計算し、それを各相続人に配分するという仕組みになっています。そこで、2段階目の相続税の計算では、1段階目で計算した課税価格の合計額(正味財産の金額)を基にして相続税の総額を計算します。
課税価格の合計額から基礎控除額を引いて課税遺産総額を計算します。基礎控除額とは相続税がかからない枠のことであり次の算式により金額を求めます。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の数に関しては注意が必要で、養子がいる場合に他に実子がいる場合は1人、いない場合は2人までという制約があります。課税価格の合計額が基礎控除額より少ない場合には相続税はかからないということになります。
課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合に、その超える部分に対して相続税がかかることになります。法定相続人が1人だと3,600万円、2人だと4,200万円、3人だと4,800万円…という感じで基礎控除の額を求めます。
正味財産の額から基礎控除額を引いた残りの部分の金額を課税遺産の総額といいます。これを基にして相続税の総額の計算を続けていきます。
相続税の総額の計算順序として、まず課税遺産総額を法定相続人が法定相続分どおりに分けたものと仮定して、おのおのの取得金額を計算します。
その次に各相続人の法定相続分に応じた取得金額に税率をかけて相続税を計算します。
最後に各相続人の法定相続分に応じた取得金額に対する税額を合計して、相続税の総額を計算します。
3段階目では各人ごとの納付税額を計算します。
2段階目で計算した相続税の総額を各相続人が取得した正味財産額の割合であん分し各相続人の相続税額を算出します。
現実の遺産分割は法定相続分どおりではありませんから、相続税の総額は各人が実際に取得した財産の割合に応じて配分され各相続人が負担することになります。次に財産を取得した相続人ごとの属性に応じた税額の調整を行い各相続人が納付すべき税額を計算します。
各相続人の相続税額は実際に取得した財産の課税価格が、財産を取得した人全員の課税価格の合計額に占める割合を、2段階目で計算した相続税の総額に乗じて計算します。
言葉にするとややこしいですが計算してみるとそこまで難しいものではありません。
例えば正味財産が1億円、実際に取得した財産額が1,000万円の場合は1/10の割合となります。相続税の総額が100万円とすると100万円×1/10で10万円の相続税となるということです。
被相続人から相続によって財産を取得した人が配偶者、子、父母ではない場合には相続税額が1.2倍となります。たとえば祖父母や兄弟姉妹、孫などが相続によって財産を取得した場合にはその人の相続税は2割増しとなります。
相続税の計算上税額から控除できるものは7種類あります。また順番がきまっており次の順番で控除します。
相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産がある場合には、その財産を相続財産に持ち戻して相続税を計算します。その贈与財産を贈与されたときに贈与税が課税されているときは、贈与税と相続税が二重に課税されてしまうことになりますので、贈与されたときにかかった贈与税を相続税から控除します。
配偶者は、被相続人の財産をつくるために大きく寄与していると考えられます。当然ながら被相続人の死亡後も配偶者は生活をしなければいけません。しかし一般的に配偶者が亡くなると生活費の確保が難しくなります。そのため生活の保障として配偶者は税額を軽減する措置が設けられています。
配偶者は、法定相続分までは相続等により財産を取得しでも相続税はかかりません。また、法定相続分を超えて取得したときでも取得した財産額が1億6,000万円以下であれば相続税はかかりません。この規定は婚姻期間に関係なく相続時点で配偶者であったかどうかで判定するため内縁関係にある人には適用できません。
この税額控除の適用を受けるためには相続税の申告書を提出する必要があり、税額がゼロとなる場合でも申告書は提出しなければなりません。この税額控除は基本的には申告期限までに遺産分割が整い、配偶者が取得する財産が確定していないと適用を受けることができません。そのため申告期限までに遺産分割がうまくいかない場合にはこの特例は適用できません。ただし相続税申告の期限後3年以内に遺産分割が問題なく決まり、配偶者が取得する財産が確定した場合には更正の請求を行うことで税金を還付してもらうことができます。
法定相続人である未成年者が相続や遺贈で財産を取得した場合には、20歳に達するまでの年数に10万円を掛けた金額をその人の相続税額から控除することができます。
控除額=(20歳-相続開始時点での年齢)×10万円
1年未満は1年として計算します。また、令和4年4月からは20歳ではなく18歳となります。未成年者控除額をその未成年者の相続税額から控除しきれない場合には、そのあまった金額はその未成年者の扶養義務者で同じ被相続人から相続等により財産を取得した人の相続税額から控除することができます。
法定相続人である障害者が相続または遺贈で財産を取得した場合には、85歳に達するまでの年数に10万円(特別障害者の場合は20万円)を掛けた金額を、その人の相続税額から控除することができます。
控除額=(85歳-相続開始時点での年齢)×10万円(特別障害者は20万円)
特別障害者とは、精神または身体に重度の障害がある人を指し障害者手帳等に記載された等級などで判断します。障害者控除額をその障害者の相続税額から控除しきれない場合には、その控除しきれない金額は、その障害者の扶養義務者で同じ被相続人から相続等により財産を取得した人の相続税額から控除することができます。
10年以内に続けて相続が発生した場合、同じ財産に対して何度も相続税が課税されることとなり、税負担が重くなります。そこで10年以内に2回以上の相続が発生した場合、前回の相続で納めた相続税のうち一定額を次の相続税から控除することができます。
相続により国外にある財産を取得した場合、その財産がある国で相続税と同じような税金が課税されることがあります。そうなると、lつの財産に対し日本の税金と外国の税金の両方が課税されることになり、国際間で二重課税となる問題が発生します。
そのため国外財産に対し外国で相続税と同じような税金が課税された場合には、わが国の相続税の計算上、一定の金額を控除できることとされています。
相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税がある場合には、その人の相続税額からその贈与税額を控除します。相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母や祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる制度です。
この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。この制度を選択すると、贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできなくなります。 また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。
詳しくは相続税の補完となる贈与税の範囲ですのでその時に解説をします。
大田区の蒲田にあるシトラスベル税理士事務所では相続税申告の無料診断をおこなっておりますのでお気軽にお問い合わせください。