事業承継税制の特例

2020年10月1日

事業承継税制の特例

相続税・贈与税の納税猶予および免除の特例

いよいよ事業承継税制の基礎的な解説も最後となりました。相続税編、贈与税編とつづいて最後はそれらの特例となりますので東京都大田区の蒲田にあるシトラスベル税理士事務所から解説させていただきます。

平成30年度税制改正により令和9年12月31日までの相続もしくは遺贈または贈与に限定した時限措置として、各種要件や猶予税額等が大幅に緩和された納税猶予および免除の特例制度が創設されました。この特例制度は既存の納税猶予および免除制度と併存する形で創設され一定の要件を充足した場合に限り既存制度との選択適用を可能とするものです。

特例制度の適用を受けるためには原則として事前に特例承継計画を策定して都道府県知事へ提出する等の手続きが必要となります。

特例制度を受けるための手続き

特例制度の適用を受けるためには原則として相続もしくは遺贈または贈与の時までに特例承継計画を策定して都道府県知事に提出する必要があります。

特例承継計画とは事業承継に係る先代経営者や後継者の氏名の他、承継前後における会社の経営計画などを記載するものであり、その策定にあたり認定経営革新等支援機関による指導・助言を受けてその所見等の記載を受ける必要があります。

シトラスベル税理士事務所(旧大見税理士事務所)は認定経営革新等支援機関ですのでご安心ください。またこの特例承継計画の内容に重大な変更が生じた場合には、計画変更の申請手続きが可能です。

この特例承継計画は令和5年3月31日まで提出が可能とされており特例制度そのものの施行期間とは異なるため注意が必要です。その他に相続もしくは遺贈または贈与後に都道府県知事の認定を受けることや納税猶予開始後に都道府県知事へ年次報告書を提出すること、および税務署へ継続届出書を提出することなどは、既存制度と同様です。

既存制度と特例制度の対比

(1)納税猶予対象株式の範囲の拡大

既存制度においては発行済議決権総数の3分の2が納税猶予の対象となる株式数の上限ですが、特例制度ではこの上限が撤廃されており、すべての株式が納税猶予の対象となります。

(2)納税猶予税額の拡大

相続税の納税猶予税額について既存制度では対象株式に係る諜税価格の80%に対応する相続税額が上限ですが、特例制度ではこの上限が撤廃されており、対象株式に係る相続税額の全額が納税猶予の対象となります。

(3)承継者の範囲の拡大

既存制度においては納税猶予の適用を受ける後継者は1人に限られていますが特例制度においては最大3名の代表権を有する同族関係者への承継が納税猶予の対象となります。

これら3名の者はそれぞれ発行済議決権総数の10%以上を有しかつ議決権割合で上位1~3番目であることが必要です。これにより、兄弟での共同承継といったニーズへの対応が可能となります。

(4)旧株主の範囲の拡大

既存制度においては納税猶予の対象は先代経営者一人からの承継に限られていますが特例制度においては先代経営者と併せて先代経営者以外の複数の株主からの承継も納税猶予の対象となります。

先代経営者以外の株主からの承継については、先代経営者からの承継の日以後その承継に係る都道府県知事の認定の有効期限までに申告期限が到来する相続もしくは遺贈または贈与である必要があります。これにより先代経営者の配偶者などからの承継の他前述の承継者の範囲の拡大と併せて複数から複数への承継も納税猶予の対象となります。

(5)雇用維持要件の緩和

既存制度においては5年間の平均で当初従業員数の80%を維持できないと納税猶予が打ち切りとなりますが、特例制度においてはこの80%を維持できなかった場合にあってもその維持できなかった理由などを記載した一定の書類を都道府県知事に提出することにより納税猶予が継続されます。

その維持できなかった理由が経営状況の悪化などである場合にあっては、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けその意見を記載した書類の添付が必要となります。これにより雇用維持要件の未達成による納税猶予打ち切りへの懸念が大幅に緩和されることとなります。

(6)譲渡等の場合の納税猶予税額の減免措置

企業の経営においては経営環境の変化等により解散による自主廃業やM&Aによる第三者譲渡などを余儀なくされることもあり得ます。これらの事象は納税猶予の打切事由に該当しますがその際に株価が下落している場合であっても原則として承継時の株価に基づく当初の納税猶予税額の納付が求められます。この点に関しては既存制度においても一定の救済措置が手当てされていますが特例制度においてはさらに充実した救済制度が創設されることとなりました。

相続税または贈与税の申告期限の翌日から5年経過後において経営環境の変化を示す一定の事由が生じ株価が下落している場合にあっては、その解散時の株価や譲渡時の譲渡対価の額等に基づき納税猶予税額を再計算し、当初の納税猶予税額との差額を免除するというものです。

一定の事由とは直前3事業年度のうち2事業年度以上が赤字であったり売上が前事業年度割れであったりなどが挙げられます。なお租税回避防止の観点から解散や譲渡等の前5年間に後継者およびその同族関係者に支払われた配当および過大役員給与等相当額は納付すべき税額に加算されます。これにより業績悪化に伴う過度の税負担への懸念が大幅に緩和されることとなります。

(7)相続時精算課税制度の適用対象者の拡大

既存制度においても相続時精算課税制度を用いて贈与税の納税猶予税額を算定することが可能であり、その対象となる取引は贈与年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子または孫への贈与に限ることとされています。

特例制度においてはこの子または孫への贈与に限ることとする要件を緩和し子または孫以外の20歳以上の後継者への贈与も対象とすることとされました。これにより相続時精算課税制度の適用により税負担のリスクを軽減しつつ納税猶予の適用を受けることができる場面が広がることとなります。

個人の事業用資産についての相続税・贈与税の納税猶予および免除制度

納税猶予および免除制度

令和元年度税制改正により個人として事業を行っている場合における個人の事業用資産についての相続税・贈与税の納税猶予および免除制度が創設されました。平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間の相続および贈与につき適用されます。制度の概略は非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予および免除制度と概ね同様です。

対象となる事業用資産は土地、建物その他一定の減価償却資産であり不動産貸付事業等の用に供するものを除きます。またこの制度の適用を受けた事業用資産を現物出資して法人を設立した場合には一定要件の元で納税猶予を継続する取扱いがあります。なおこの制度の適用を受ける場合には特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の課税価格の計算の特例を受けることができないため注意が必要です。

いかがだったでしょうか?事業承継税制は難解ですので一度読んだだけではなかなか難しいことかと思いますが少しずつ理解をしていけば十分だと思います。


みなさん東京都大田区のJR蒲田駅にある「かまたえん」はご存知でしょうか?
駅ビルの屋上に観覧車があるめずらしい施設となっており、私が子供の頃からあった記憶があります。
調べてみましたら1968年からあるそうで2014年に一時閉鎖の危機がありましたが地元の方の応援により残されたそうです。いまはかまたえんとともに夏はビヤガーデン、冬は牡蠣小屋等も併設されていて地元の人の憩いの場となっておりますのでシトラスベル税理士事務所にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。