2020年9月28日
前回に引き続き事業承継制度を大田区の蒲田にあるシトラスベル税理士事務所から解説をさせていただきます、今回は贈与税に関しての納税猶予です。
後継者である受贈者が先代経営者からの一括贈与により非上場会社の株式等を取得し事業継続等一定の要件を満たす場合には、株式等にかかる課税価格に対応する贈与税の納税がその後継者の死亡等の日まで猶予されます。またこの制度の適用を受けた場合には先代経営者が死亡した場合の相続税申告においてその後継者が相続等により新たに取得した非上場株式等について、相続税の納税猶予および免除制度の適用を受けることはできません。
相続税の納税猶予および免除制度との違いにおいて重要なことは、非上場株式等の贈与を受ける後継者が贈与時において役員就任から3年以上経過していることと贈与者である先代経営者が贈与時までに代表者を退任しなければならないということです。
この制度は先代経営者である贈与者が後継者に非上場株式等を一括贈与することが要件です。
適用を受けるために一括贈与しなければならない非上場株式等の数および納税猶予の対象となる株式等の限度数については、一定の数に定められていますが対象となる非上場株式等に対応する贈与税についてはその全額の納税が猶予されます。なおいわゆる暦年課税贈与によるほか相続時精算課税贈与によるものも対象になります。
この制度の適用を受ける場合には、贈与した年の翌年1月15日までに適用要件を満たしていることについて、都道府県知事に認定申請書を提出し、認定を受ける必要があります。
後継者である受贈者は次に掲げるすべての要件を満たす必要があります。
(イ)認定贈与承継会社の非上場株式等を贈与により取得した個人であること
(ロ)贈与の時において会社の代表者であること
(ハ)贈与の時において20歳以上(令和4年4月1日からは18歳)であること
(ニ)役員等の就任から3年以上経過していること
(ホ)贈与直後において後継者と同族関係者で総議決権数の50%超を保有しかつ、同族内で筆頭株主であること
先代経営者である贈与者は以下の要件をすべて満たしている必要があります。
(イ)贈与前において贈与者と同族関係者で、総議決権数の50%超を保有し、かつ同族内で筆頭株主であり、さらに会社の代表者であったこと
(ロ)贈与時までに会社の代表者を退任すること
(ハ)贈与の直前において贈与者と同族関係者で総議決権数の50%超を保有し、かつ同族内で筆頭株主であったこと
また、先代経営者と併せて先代経営者以外の複数の株主からの贈与も納税猶予の対象となります。先代経営者以外の株主からの贈与については、先代経営者からの承継の日以後、その承継に係る都道府県知事の認定の有効期限までに申告期限が到来する贈与である必要があります。
申告の手続きおよび担保提供については、相続税の納税猶予および免除制度とまったく閉じ取扱いです。
この制度の適用を受ける場合には贈与税の申告期限までに制度の適用を受ける旨を記載した贈与税申告書および一定の書類を提出するとともに納税が猶予される贈与税額および利子税の額に見合う担保を提供する必要がありますが、制度の適用を受ける非上場株式等の全部を担保として提供すれば納税猶予額および利子税の額に見合う担保提供があったものとみなされることになっています。
贈与税の納税猶予および免除制度も後継者が事業を承継するにあたり自社株に係る税負担が事業継続に支障をきたすことがないように設けられている制度です。したがって贈与税の納税猶予および免除制度の適用を受ける場合においても、納税の猶予が認められる代わりに贈与税申告期限後の5年間は経営承継期間としてさまざまな要件を満たす必要があります。
また、経営承継期間経過後も株式保有期間が続く、ということも相続税の納税猶予および免除制度と同様です。経営承継期間における必要な手続きとしては相続税の納税猶予および免除制度と同様に申告期限の翌日から1年ごとの税務署長に対する継続届出書の提出と都道府県知事に対する事業継続報告書の提出です。
提出を怠った場合や打ち切り事由に該当することが判明した場合には納税猶予は打ち切られてしまうことになるのも相続税の納税猶予および免除制度と同様です。経営承継期間中に後継者が守らなければならない主な要件を以下にご紹介します。
相続税の納税猶予および免除制度の適用を受けている場合と概ね同様です。
後継者は経営承継期間経過後も、猶予税額免除となるまで納税猶予の対象となった非上場株式等を保有し続けること資産保有型会社等に該当しないこと等の要件を引き続き満たし続ける必要があります。また経営承継期間経過後3年ごとに税務署長に継続届出書を提出することも同様です。
提出を怠った場合や要件を満たさないこととなった場合にはやはり納税猶予打ち切りとなってしまいます。
贈与税の納税猶予および免除制度の適用を受けた場合において次に掲げる事由に該当することとなったときには、一定の期間内に免除届出書または免除申請書を所轄税務署長に提出することにより猶予税額の全部または一部が免除されることとなります。
要件を満たさなくなった場合や届出番の提出を怠った場合には納税猶予額の全部または一部と利子税を納付する必要があること等、納税猶予が打ち切りになるケースは相続税の納税猶予および免除制度と概ね同様です。
贈与税の納税猶予および免除制度の適用を受けた場合において、後継者が会社の代表者でなくなった場合など一定の事由に該当することとなった場合には、納税猶予は打ち切られ、猶予されていた贈与税額の全部または一部と申告期限の翌日から納税猶予期限までの期間に相当する利子税を納付しなければなりません。
後継者が贈与税の納税猶予および免除制度の適用を受けていた場合において贈与者(先代経営者)が死亡した場合には後継者の猶予されていた贈与税は免除されます。ただし贈与税の納税猶予の対象となった非上場株式等は贈与者の相続税の計算において、贈与者から後継者が相続等により取得したものとみなされて相続税の課税対象となり相続税の納税猶予および免除制度適用を受けることができます。
このとき非上場株式等の価額は、贈与時の価額により相続財産に合算されます。なお、後継者が贈与者から相続または遺贈により新たに取得した当該非上場株式等と同じ銘柄の株式等については相続税の納税猶予および免除制度の適用を受けることはできません。
上記で相続等により取得したものとみなされた非上場株式等について、相続税の納税猶予および免除制度の適用を受ける場合には、当該会社後継者(相続人等)が制度の適用要件を満たしていることについて先代経営者の相続開始の日の翌日から8か月以内に都道府県知事に確認申請書を提出し、確認を受ける必要があります。
(1)で相続等により取得したものとみなされた非上場株式等について、相続税の納税猶予および免除制度の適用を受ける場合にはその適用を受ける旨を記載した相続税申告書と一定の書類を提出するとともに納税が猶予される相続税額および利子税の額に見合う担保を提供しなければなりません。
相続等により取得したものとみなされた非上場株式等のうち、贈与直前に後継者本人がすでに保有していた非上場株式等を含めて相続時における後継者の議決権割合が3分の2に達するまでの部分にかかる課税価格の80%に対応する相続税について納税が猶予されます。したがって贈与時において贈与税の全額について納税猶予の適用を受けた場合でも相続時においては課税価格の20%に対応する相続税については納税が生じることとなります。
上記で相続等により取得したものとみなされた非上場株式等について、相続税の納税猶予および免除制度の適用を受ける場合において、後継者が贈与税の納税猶予および免除制度の適用における経営承継期間の要件をすでにクリアしているときは、相続税申告期限後は当該株式の継続保有などの要件を満たすだけでよいこととなります。
また贈与税の申告期限後経営承継期間中に、先代経営者に相続が発生した場合において、相続等により取得したものとみなされた非上場株式等について引き続き相続税の納税猶予および免除制度の適用を受けるときは、当初の経営承継期聞が終了するまで後継者は毎年書類の提出義務があり経営承継期間におけるさまざまな要件を満たしておく必要があります。
なお贈与者の相続税申告において相続等により取得したものとみなされた非上場株式等について相続税の納税猶予および免除制度の適用を受けずに相続税の申告期限までに後継者が相続税を全額現金納付した場合には、相続税申告期限後において後継者が一切経営上の制約を受けることはありません。
さて贈与税に関しての事業承継税制に関しての解説をさせていただきました。特例に関しては次の解説でさせていただきます。
みなさん羽田出島という商業施設をご存知でしょうか?東京都大田区にある羽田空港近くに新しくオープンしたそうです。
文化やアート、ものづくりなどをプレゼンテーションしていく施設ということで一度体験したいと思っております。
シトラスベル税理士事務所は同じ大田区の蒲田にあり頑張れば自転車でもいけますし京急蒲田からは6分で天空橋につくくらいアクセスも近いので楽しみにしています。