贈与税ってなに?

2020年9月14日

贈与税ってなに?

贈与とは

贈与とは、通常他人に物品をプレゼントすることをいいますが、法的には「当事者の一方(贈与者)が、自己の財産を無償で相手方(受贈者)に与える意思を表示し、相手方が受諾することで効力が生じる契約」をいいます。つまり、贈与者の「あげます」という意思と受贈者の「もらいます」という意思が合致したとき「贈与」が成立することになります。

個人間において、財産の時価と比べ、著しく低い価額で譲渡が行われたり、債務の免除や引受けなどによって利益を受けたりする場合には、贈与があったものとみなして贈与税がかかります。

贈与があったときの課税関係

贈与税を払う必要がある人は、財産の贈与を受けた個人です。もし贈与をした人が贈与税を払ったとしたらその贈与税分の金額も受贈者に対して贈与したことになります。贈与税は個人が個人からの贈与により財産を取得した場合にかかる税金です。会社が財産の贈与を受けた場合は、贈与税ではなく法人税を払うことになります。さらに個人が会社から財産の贈与を受けた場合その個人は贈与税ではなく、所得税を払うことになります。

贈与による財産の取得時期

いつ贈与により財産を取得したのか?が贈与税の申告においては重要なポイントです。贈与税は、1月1日から12月31日までの間に贈与により取得した財産の価額の合計額を基礎として計算されるからです。贈与による財産の取得時期は次のようになっています。

  • 贈与契約書などの書面が作成された場合は、その契約を締結したとき
  • 口頭による贈与があった場合は財産の引渡しが実際に行われたとき
  • 例えば、「大学に合格したら車を買ってあげる」のケースのように条件が成就したときに贈与することになっている場合は、その条件が成就したとき
  • 贈与の時期が不明な不動産や有価証券の贈与に関しては贈与時期が不明な場合は、不動産については登記が行われたとき、有価証券については名義変更が行われたとき

贈与税の対象となる財産

贈与税の対象となる財産は、贈与時における贈与者・受贈者の住所が日本にあるかどうか、日本国籍かどうかなどによって、日本国内にある財産だけが対象になる場合と外国にある財産も対象になる場合とがあります。

平成29年度の税制改正により、一時居住者に対する課税の緩和と租税回避のため国外に移住した日本人への課税の強化が行われました。平成29年4月1日以降は、贈与時における贈与者の住所が日本にある場合でも、一時居住者については日本にある財産だけが課税対象となりました。また、贈与者・受贈者がともに日本人である場合には、両者とも10年を超えて外国に居住していなければ外国にある財産も課税対象となりました。

平成30年度の税制改正では非居住者の範囲が拡大され平成29年度の税制改正により新たに全世界課税の対象となった一定の外国人について外国にある財産を課税財産の範囲から除く改正が行われました。平成30年4月1日以降は外国人が出国後に行った贈与については原則として外国にある財産は課税財産には含まれません。

本来の贈与財産

贈与により取得した不動産、預貯金、現金、株式、債権、営業権など金銭で見積もることができる経済的価値のあるものすべてが「本来の贈与財産」として贈与税の対象となります。また次の場合も、原則として本来の贈与財産となります。

  1. 対価の授受なく不動産や株式等の名義変更をした場合
  2. お金を出した人以外の人の名義で新たに不動産、株式等を取得した場合
  3. 共有していた財産の共有者の1人がその持分を放棄した場合
  4. 負担付贈与があった場合においてその負担が第三者の利益になる場合

みなし贈与財産

本来の贈与財産にあたらない場合であっても実質的に贈与により取得したのと同じ効果があるものについては、相続税法により、みなし贈与財産として贈与税の対象となります。

生命保険金

満期保険金や死亡保険金を取得した場合において保険料負担者と保険金受取人が異なるときは、保険金受取人が保険料負担者から保険金を贈与により取得したものとみなされます。ただしこの保険金が相続により取得したものとみなされた場合は贈与税は課税されません。

定期金

個人年金保険などの定期金給付が始まった場合において、掛金負担者と年金受取人が異なるときは、年金受取人が掛金負担者から年金受給権を贈与により取得したものとみなされます。

低額譲受け

時価よりも著しく低い対価で財産の譲渡を受けた場合には、譲り受けた者が譲り渡した者から時価と対価との差額を贈与により取得したものとみなされます。

例えば時価200万円の財産を90万円の対価で譲り受けた場合には、時価と対価との差額110万円を、その財産の取得者が譲渡した者から贈与により取得したものとみなされます。

債務免除等

借入金等の債務を負う者がその債務を免除または肩代わりしてもらった場合にはその債務者が債務の免除や肩代わりした者からその免除等により受けた利益を贈与により取得したものとみなされます。

その他の経済的利益

対価を支払わないで、または著しく低い価額で利益を受けた場合には、その利益を受けた者がその利益を受けさせた者から利益の価額に相当する金額を贈与により取得したものとみなされます。

例えば、同族会社の株式の価額が、その会社に対する財産の贈与や低額譲渡、債務の免除等により増加したときは、その会社の株主がその会社へ財産の贈与等をした者から増加した株式の価額に相当する金額を贈与により取得したものとみなされます。

信託に関する権利

信託とは、委託者が自分の財産を受託者に預け、受託者はその財産を信託契約などに基づいて管理・処分し獲得した利益を受益者に分配する仕組みです。平成19年9月30日以後に効力が生じる信託については、信託の効力発生時や信託期間中、信託の終了時などにおいて税法が整備されています。ここでは効力発生時の基本的な例をあげて説明します。

信託の効力が生じた場合において適正な対価を負担せずにその信託の受益者となった場合には、委託者から受益者への信託に関する権利の贈与があったものとみなされて贈与税の対象となります。

贈与税の対象とならない財産

贈与により取得した財産はすべて贈与税の対象となるのですが、国民感情や社会政策的見地を考慮して贈与税の対象とならない財産があります。これを贈与税の非課税財産といい贈与税の非課税財産は一定のものに限られています。

法人からの贈与により取得した財産

贈与税は相続税の補完税という性格のため相続が起こりえない法人については、法人からの財産移転があったとしても、贈与税は課税されません。この場合は財産取得者は所得税の対象となり基本的には一時所得となります。

扶養義務者からもらった生活費・教育費

親子、夫婦、兄弟などの扶養義務者の問で行った生活費・教育費の贈与で必要なときに贈与されるものは贈与税の対象とはなりません。しかし生活費等としてもらった場合でも貯金をしてしまうなど、不動産の購入資金などに充ててしまった場合には、贈与税の対象となります。

公益事業用財産

宗教活動者や慈善事業者などの公益事業者が贈与により取得した財産で公益事業に供することが確実なものは贈与税の対象とはなりません。

一定の特定公益信託から交付を受ける金品

奨学金などのように一定の特定公益信託から受ける学術の奨励金、学費は、贈与税の対象とはなりません。

心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権

精神または身体に障害のある人が地方公共団体から支給を受ける給付金を受ける権利は、贈与税の対象とはなりません。

特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権

特別障害者および知的障害者等が特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の贈与を受けた場合において障害者非課税信託申告書を提出していると信託受益権のうち6,000万円(特別障害者以外の障害者は3000万円)までは、贈与税の対象とはなりません。

公職選挙の候補者が選挙運動で受けた財産

国会議員・県会議員などの公職選挙法上の選挙において、候補者が選挙運動によって贈与により取得した財産で公職選挙法の規定により報告されているものは、贈与税の対象とはなりません。

香典

常識の範囲内で社交上必要と認められる香典お見舞い、お祝い、お中元お歳暮などは贈与税の対象とはなりません。

相続開始年分の被相続人からの贈与

相続開始の年に被相続人からの贈与により取得した財産で相続税の対象となる財産は、贈与税の対象とはなりません。

離婚による財産分与

離婚による財産分与によって取得した財産は、その額が社会通念上相当な額であれば、贈与税の対象とはなりません。