相続税の納税

2020年9月10日

建物や株、様々な相続税の財産評価

本日も大田区蒲田にあるシトラスベル税理士事務所より相続税の納税の解説をさせていただきます。

相続税の納付期限は申告書の提出期限と同じで、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。相続税の納税は金銭での一括納付が原則です。しかし相続した財産の大部分が不動産のような金銭にするのが難しい場合だと相続税を支払うことが困難となります。そのような場合の納付方法の特例として相続税を分割で支払う延納という方法が認められています。

延納によっても納付がなお困難と認められたときには、その納付が困難な金額を限度として相続した財産そのもので納付する物納も認められています。もっとも相続税の納付の基本的方法は金銭一括納付のため延納や物納が認められるためには相続財産中に金銭がない等の条件に該当しなければなりません。なお、延納や物納が認められるかどうかは各相続人ごとに個別に判断されます。

納付期限までに金銭で一括納付せず延納や物納の申請も行っていない場合には、申告期限の翌日より2か月以内は「特例基準割合+1.0%と7.3%のいずれか低い割合、納期限後2か月超は、「特例基準割合+7.3%と14.6%のいずれか低い割合の延滞税が課されます。

延納

相続税を金銭で一括納付することができない場合、次の要件をすべて満たしているときは括納付が困難な金額について延納をすることができます。

  • 相続税額が10万円を超えていること。
    期限内申告の税額、期限後申告や修正申告、または更正や決定により納付する税額のそれぞれについて個別に判断します。
  • 金銭で一指納付することが困難であること
    相続税を金銭で一括納付することが困難であるかどうかは、相続税を納付すべき日において延納を申請する相続人がどのような相続財産を取得したか、および相続人自身の財産の所有状況近い将来の収入や支出を総合的に勘案して判断されます。
  • 担保を提供すること
    延納の申請をする場合には延納税額に見合う担保の提供が必要です。

ただし延納税額が100万円以下である場合で、かつ延納期間が3年以下である場合には担保提供は不要です。また担保とする財産は、相続財産や納税者の固有財産でなくてもかまいませんが以下のような財産に限定されています。

国債や地方債
社債や有価証券で税務署長が認めたもの

土地
建物、船舶などで保険に付したものなど

  • 申請書を期限までに提出すること
    延納をしようとする場合には、相続税の納期限までに所定の事項を記載した延納申請書に担保提供に関する書類を添えて提出しなければなりません。

延納期間と利子税

延納期間は原則として5年以内で、延納期間中は利子税がかかります。延納期間と利子税率は、不動産等の価額が相続税の課税価格に占める割合に応じて定められています。この場合の不動産等とは、土地、建物、事業用の減価償却資産、一定の未上場株式等をいいます。

相続した財産の合計価額に対してこれら不動産等の価額の割合が多いほど、延納の期聞が長く認められ、また利子税率が低く設定されています。利子税率には原則と特例があり、平成12年1月1日以後の期間については、特例の利子税率が課されます。

特例の税率は、原則の利子税×延納特例基準割合÷7.3%で計算します。

なお、延納特例基準割合は、平成25年12月31日までは、「各分納期間の開始日の属する月の2か月前の月の末日を経過する時の日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合」とされていましたが、平成26年1月1日以降は「各分納期間の開始の日の属する年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合となります。

延納税額の納付方法

延納が認められた場合には、元金である相続税額を延納年数で割った金額と、利子税を年1回支払います。

不動産等の価額の割合が50%以上の場合、延納する税額には、不動産等の価額に対応する税額とその他の財産の価額に対応する税額があり、それぞれ延納期間や利子税率が異なりますので.その異なる税額ごとに区分してそれぞれの均等払い金額(分納税額)および利子税額を計算しその合計額を納付します。なお、延納相続税額を延納年数で割った金額に.1000円未満の端数がある場合には、その端数はすべて第1回目に納付すべき税額に合算して計算します。

物納

相続税を一括で金銭納付することができず、さらに延納によっても金銭で納付することができない場合に限り、相続財産そのもので納付する物納が認められます。物納は相続税だけに認められている制度ですので、他の税目にはありません。物納が認められるためには、一定の条件を満たすことが必要です。

相続税を金銭で一括納付することが困難であり、かつ延納によっても金銭で納付することを困難とする事由のあること

金銭で納付することを困難とする事由や延納によっても納付することが困難とする事由があるかどうかについては、延納の要件と同じく物納を申請する相続人が相続した財産の中身や相続人自身の財産の所有状況、近い将来の収入・支出状況を総合的に勘案して判定されます。

近い将来の金銭収入とは、貸付金の返済、退職金の給付や財産の売却収入等をいいます。相続した財産のほとんどが不動産で、相続人自身の財産状況からみても金銭に余裕がない場合、金銭納付困難の事由には該当します。しかし相続した不動産の中にアパートのような収益物件がありその収益によって、延納による相続税の納付が可能と判断された場合には、物納は認められないことも考えられます。

物納する財産は、相続により取得した財産等でなければいけません。

相続人自身が以前から持っていた財産で物納することはできないので注意が必要です。

物納する財産は、国が管理または処分するのに適したものであることが必要です。

また物納をしようとする場合には相続税の納期限までに所定の事項を記載した物納申請書にその物納しようとする財産の種類に応じて必要な書類を添付して提出しなければなりません。物納できる財産は、物納申請をする相続人が相続により取得した財産のなかで国内にある財産に限られます。また、物納に充てることができる財産が2種類以上ある場合には、どの財産から物納するかという物納の順位も定められています。

例えば、相続財産の中に不動産と非上場株式がある場合には、非上場株式を物納することはできず、まず不動産を納付すべきこととなります。
第1順位は国債と地方債、不動産、船舶、株式、社債、証券投資信託等の受益証券、投資証券のうち上場されているものと規定されています。
第2順位は株式・社債・証券投資信託等の受益証券・投資証券のうち第1順位に掲げる以外のものまたは貸付信託の受益証券と規定されています。
第3順位として動産が規定されています。

物納ができない財産

物納された財産を国はずっと保有するわけではなく、その財産から収入を得たり、将来売却して金銭に換えたりすることにより相続税の税収とします。そのため、外国にある土地のように、国が管理や処分をするのに困難な財産は物納できません。また他に物納に適した財産がない場合に限り物納が認められる財産も法律で定められております。

たとえば抵当権がついている不動産や境界が明瞭ではない土地、共有となっている財産、法定違反の建物、接道条件を満たしていない建物等に関しては物納することはできません。

物納財産の収納価額

物納財産は基本的に相続税の課税価格の計算の基礎となった相続税評価額により国が引き取り、この引取価額を収納価額といいます。したがって、小規模宅地等の評価減の特例を受けた土地を物納する場合には、特例適用後の評価額が収納価額となります。また物納財産を収納するときまでに、著しい状況の変化があった場合には、収納価額の改訂が行われ、土地の評価に誤りがあったこと等により物納に充てた財産の価額が変更になった場合には、変更後の価額が収納価額になります。

物納の許可と却下、取下げ

物納申請があった場合税務署はその物件が物納要件に合致するかどうかを調査します。不動産に関しては、物納財産の実際の管理を行う財務局の現地調査があり物納を申請した相続人立会いのもとその不動産が物納財産として適しているかどうかの調査が行われます。調査の結果、例えば、隣地との境界が不明確であるなどの不備がある場合には.一定の期限までに不備をなくすように税務署から指示があります。

不備をなくし最終的に税務署が物納に適した財産であることを認めた場合には物納が許可され物納許可通知書が相続人のもとに送付されます。

納税者側の書類の提出が間に合わなかったり、税務署から指摘された不備な点を期限までに解消できなかったりする場合にはそれぞれ最長1年間延長を求めることができます。

納税者の都合で延長を求めている間は相続税について利子税がかかります。

指摘された不備な点がどうしても解決できず、物納財産に適していないとみなされた場合には、物納が却下され、「物納却下通知書」が送付されます。また、後日汚染地であったことが判明した場合には必要な措置を講ずること等の条件付で、物納が許可されることもあり、この場合、当該条件について5年以内に違反した場合には物納の許可が取り消される可能性があります。

その他に物納申請をしていた財産が有利な価額で売却できることとなった場合等により、相続人自ら物納を取りやめたいと思った場合には物納申請が許可される以前であればいつでも物納を取り下げることが可能です。

物納の却下、取下げがあった場合には、物納にかかる相続税をただちに納付する必要があります。また、その際には相続税の法定納期限の翌日から納付までの期間について利子税がかかります。

物納のメリット

物納をするためにはさまざまな要件がありますが、要件をクリアして物納が認められれば、相続のタイミングで不要な財産を金銭の代わりに相続税の納付に充てることができます。

現金化が容易ではない貸宅地や非上場会社の株式なども条件が整えば物納可能ですから、物納により相続税評価額で処分することができます。また土地は実勢価格の下落に対して相続税評価額が高止まりしている場合も多く見受けられます。そのような場合物納は遊休不動産・低収益不動産を実勢価格よりも高く処分できる機会となります。

財産を売却した場合は、譲渡益に税金が課せられますが物納は国に対する譲渡なので譲渡所得税がかからず原則として無税で処分できます。外部に売却して、税金を支払ってから残りのお金を相続税の納税に充てるより、有利になることがあります。

相続により取得した財産を相続開始の日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に売却した場合には、譲渡所得税の特例として相続税の取得費加算の特例を受けることができます。この制度を使うと譲渡所得税が軽減され、場合によってはゼロになることもありますので、この制度の活用も考慮したうえで物納が有利か、売却が有利かの判断をする必要があります。

相続財産が現金預金、有価証券および不要な不動産で構成されている場合には遺産分割の際になるべく配偶者が現金預金や有側証券を取得します。そしてその他の相続人が不要な不動産を取得して不動産を物納に充てれば家族全体では相続税納付後も現金預金、有価証券等の流動資産を手元に多く残すことができます。

物納のための準備

不動産の物納制度にはさまざまな要件があります。これらの要件を充足するためには、相続が発生してから準備したのでは間に合わないことがあります。

そのためにも万が一の事が起こったときのためにあらかじめ相続税の試算を行い、保有する不動産について.どの不動産が物納に適格かどうかを考え、また物納した方が有利な不動産とそうでない不動産の色分けをして、物納のための整備を行うなど.事前の準備を早めに始めるとよいでしょう。

納付方法の変更

相続税の納税に延納を申請した場合、延納を取りやめて金銭一括納付に変更することができます。その際、全額ではなく、一部を繰上納付することもできます。なお申告期限から10年以内に限り、納税者の資力の状況の変化等により延納による納付が困難となった場合には延納から物納への切り替えが認められます。


本日は大田区の蒲田にあるシトラスベル税理士事務所から相続税の納税について情報発信をさせていただきました。

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