相続税の申告ルール

2020年9月7日

相続の基礎

おまたせしました、いよいよ今回は大田区蒲田にあるシトラスベル税理士事務所から相続税申告の方法の基礎的な知識を解説致します。

相続税の申告方法

相続税は申告義務のある人が自ら申告をしなければいけないこととなっています。したがって、相続税の申告書の提出義務があるかどうかは納税者自身が判断し、申告が必要な場合は法律で定められた期限までに相続税の申告書を提出しなければなりません。相続税の申告が必要な場合とは原則として相続税がかかる場合です。つまり相続財産の課税価格が基礎控除の金額を超える場合です。

しかしこの場合でも相続税の申告書を提出する必要があるケースもあります。相続税の特例を利用した結果、相続税がかからないという場合が該当します。申告書を提出しなければこれらの特例の適用を受けることができないため注意が必要です。万が一申告をせず税務調査等になった場合あとから適用をうけることはできません。

期限後の申告の場合は一定の場合あとからでも適用できますが、いずれにしても小規模宅地の特例は該当する場合は必ずうけるべきものの一つですから慎重に判断しましょう。一例として小規模宅地等の評価減の特例は、被相続人の居住用または事業用の宅地を相続して小規模宅地等の評価減の特例を適用した結果、課税価格が基礎控除額以下になる場合でも申告をしなければいけません。

他にも配偶者の税額軽減の特例があります。課税価格は基礎控除額を超えているが配偶者が配偶者の税額軽減の特例の適用を受け結果相続税がゼロとなる場合でも相続税の申告をしなければいけません。

提出先

相続税の申告書は被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署に提出します。相続人が複数いる場合には通常共同で申告書を提出します。しかし遺産分割協議が不調なときなど一人一人提出してもかまいません。被相続人の死亡時の住所が日本ではない場合は相続人の住所が日本であればその住所を管轄する税務署に提出します。

被相続人と相続人の両者の住所が日本国内にない場合には相続人が定めた納税地か国税庁長官が定めた納税地いずれかの納税地を管轄する税務署に提出します。

相続税申告書提出の期限

相続税の申告書の提出期限は相続があったことを知った日の翌日から10か月以内です。

提出期限の日が土日、祝祭日にあたるときは翌日以降の平日が相続税の申告書の提出期限となります。また災害等の特別な理由で、相続税の申告書を法定申告期限までに提出できない場合には、税務署長等が定めたときや相続人の申請により法定申告期限が延長されることがあります。

期限内申告と期限後申告

相続人は相続開始日の翌日から10か月以内の申告期限までに相続税の申告書を作成して税務署へ提出し納税をしなければなりません。申告書が申告期限までに提出した場合を期限内申告といいます。申告期限を過ぎた後に税務調査前に自主的に申告書を提出した場合には、期限後申告となります。

期限後申告の場合には法定申告期限までに納付すべきであった税額プラス期限までに申告を行わなかったことに対するペナルティーである無申告加算税5%と利息にあたる延滞税がかかります。

延滞税の計算

延滞税は国税の全部または一部を法律で定められた納付期限内に納付しない場合に賦課されます。延滞税は未納税額に対して納期限後2か月以内は、特例基準割合+1%」と7.3%のいずれか低い割合を乗じて計算し、納期限後2か月超は、特例基準割合+7.3%と14.6%のいずれか低い割合を乗じて計算した金額です。

修正申告

相続税の計算が間違えていたり、相続財産として計上する財産が少なかったり等の理由で申告額よりも実際に納付すべき相続税が増加する場合には修正申告という申告をします。修正申告は誤りに気づいたら行います。

税務調査によって誤りを修正する修正申告においてはその不足していた本税に加えて納付すべき税金が不足していたことに対するペナルティーとして過少申告加算税10%と延滞税が課されます。

これに対して申告書を提出してから相続人自身が誤りに気付いて自ら修正申告書を提出した場合には、過少申告加算税は免除されます。もっとも重いペナルティーは財産を偽装したり隠したりするなど誤りが悪質であると税務署に判断された場合には過少申告加算税に代えて重加算税が課されます。

更正の請求

相続税の計算に誤りがあった等の理由で最初の申告よりも実際に納付しなければいけない相続税額が減る場合には更正の請求をします。更正の請求は基本的に相続税の申告期限から5年以内に行わなければいけません。例外として未分割として申告をした財産について分割が決まったときなどの場合には5年を超えて更正の請求をすることができます。

この例外は次のような場合が代表例となります。

  • 未分割財産が共同相続人または包括受遺者により分割された
  • 認知、相続人の廃除等により相続人に異動が生じたこと
  • 遺留分侵害額の請求に基づき支払うべき金銭の額が確定したこと
  • 遺贈に係る遺言書が発見され、または遺贈の放棄があったこと
  • 特別寄与者が支払いを受けるべき特別寄与料の金額が確定したこと

こういった事由が生じたことを知った日の翌日から4か月以内であれば5年を超えていたとしても請求することができます。

未分割で申告をする場合

遺言書がない場合は相続人の間で遺産分割協議を行って相続する財産を決めます。しかし相続人間の話し合いがまとまらず、法定申告期限内に相続財産を分割できない場合には分割が決まらない財産については、相続税の申告ができないこととなってしまいます。そのため相続税法では各相続人が民法の規定による法定相続分に従って財産を取得したと仮定して相続税額を計算し申告および納税をしなければなりません。その後、遺産分割が整ったときに遺産分割に従った申告書をあらためて提出し納税額に差額がある場合には修正申告や更正の請求を行います。

例えば申告書の提出期限までに分割が決まらない財産が3億円ありその財産にかかる相続税額が5,460万円であるとします。法定相続人が子供3人である場合、相続人3人は未分割の財産を法定相続割合(3分のlずつ1億円)で取得したと仮定して相続税も3分のlずつの1,820万円をそれぞれが納付します。その後未分割であった財産について遺産分割が成立した際、実際の財産取得割合に相当する相続税額を求め、実際の財産取得割合が当初申告した法定相続割合と異なる場合には修正申告または更正の請求を行います。

例えば未分割の相続財産について遺産分割について、Aは1.2億円の相続、Bは8,000万円、Cは1億円を相続として成立した場合、相続人Aは修正申告、相続人Bは更正の請求を行います。相続人Cは取得した財産が当初申告と同額ですのでこれらの手続きは不要です。

税務調査

相続税の申告内容が適正かどうかを確認するために国税局や税務署の調査官が行うものが税務調査となります。

相続税の申告は自己申告制度になっているため適正であるかどうか嘘や偽りをしていないかどうか提出された申告書の中から公平な課税の実現を目的として行われます。ただ相続財産が僅少な人は税務調査の確率が極端に低かったり、逆に相続財産が多額の方は税務調査が高確率でおこなわれるなど相続財産の内容や金額により調査の有無を判断しているかもしれません。

税務調査では被相続人の自宅を調査官が訪問し被相続人の生前の趣味や職業、生活状況や預金の管理、出し入れの状況等の聞き取り調査をします。

更正等の期間制限と徴収権の消滅

税務調査を行う期間には期限があります。税務当局は法定申告期限から下記のそれぞれに定められた年数を経過した日以後は税務調査による更正や決定を行うことができなくなります。

納税申告書を法定申告期限内に提出した者に対する更正は5年
納付すべき税額を減少させる更正5年
偽りなどの不正行為により、税金を免れたり還付を受けた場合の更正決定等は7年
贈与税についての更正決定等は6年

徴収権の消滅

国税の徴収権は法定納期限から5年を経過すれば消滅します。この期間をすぎると、たとえ税務調査などによっても税金の徴収はできないこととされています。ただし納税者が財産の仮装や隠ぺいをした場合にはその期間が7年となります。


今回も近代映画発祥の地である蒲田駅にあるシトラスベル税理士事務所から相続税の申告の解説をさせていただきました。蒲田は大正9年に松竹キネマ蒲田撮影所ができて以来流行の発信地の一つだったということです。2020年は100周年ということですので映画好きのかたはぜひ調べてみてください。